高齢者の方の場合,定年・退職などを期にうつ病になりやすいと言われています.
    生活環境がそれまでと,ガラット変るため,精神的なストレスが気づかないうちにかかっていると考えられています.
    また配偶者との離別・死別などで,うつ病を発症することもあります.
    一見痴呆とも間違われるうつ病(仮性痴呆)もありますので,心当たりのある方は日ごろの変化に注意しましょう.

 

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高齢者が罹りやすいうつ病・症候群

 ここで挙げる『高齢者』とは前期・後期高齢者(65歳・75歳以上)の枠組みではなく,中年世代の方も含まれます.主に定年前の世代から,老後生活を送っている方を対象としています.バリバリのサラリーマンが定年を期に毎日が日曜日になってしまったとき,,,趣味もなく生活にハリがなく毎日を送るようになってからの事です.急に『呆け出したのか?』『痴呆ではないか?』と心配になったり,また大切な人生の伴侶やご友人と離別したとき,,,高齢者の方々にとって,人生の転機や喪失体験は意外に多いものです.その大きな出来事に対し男性・女性関係なく,うつ病にならないよう気をつける必要があるようです.


定年前うつ病
 定年前うつ病とは,文字通り定年を間近にひかえたサラリーマンに多発するうつ病です.「会社の肩書きや名刺がなくなったら,自分に残るものはなんだろう・・・」と定年後の自分の生きがいを見出せない認知に陥ってしまうと,定年前(定年後)に気分が鬱々としてしまい,そのままうつ病に発展してしまいます.バリバリ働くのも良いことですが,将来訪れる第二の人生をどう過ごすか,プランを立てて趣味などを見つけると,うつ病の予防にもなります.

うつ病による仮性痴呆と痴呆の見分け方
  うつ病による仮性痴呆 痴     呆
症状の起こり方 痴呆症状が出る前に気分の落ち込みや,不安が見られることが多い. 痴呆症状が出る前に,気分の落ち込みが無い.
症状が続く期間 数週間から数ヶ月. 何年にもわたる
症状の経過 悪くなったり,良くなったり波がある. 波は無く,徐々に悪化する.
症状に対する本人の態度 物覚えの悪さを悲観している. あまり悲観的にならない.
時間,場所の理解 できる. できない事が多い.
気分が沈んだり,不安定な表情 感じられる. あまり感じられない.
朝早く目覚め,その後眠れない しばしば. 少ない.
仮性痴呆
 急な環境の変化や喪失体験などで,身の置き所が無い,物覚えが悪くなったといった不安感や焦燥感が強く出たり,体の症状が前面に出たりすることもあります.こういった場合,よく間違われるのが『痴呆』症状です.痴呆はあくまで何らかの原因で脳の機能が低下してしまう脳の病気です.一方間違われやすいうつ病症状を『仮性痴呆』と呼び,若干痴呆症状との違いが見られます.どちらの症状かを見極めて,適正な治療を受けるためにも,違いを表にまとめました.


 ◆イライラが目立ちます
  気分の落ち込み,無気力などうつ病らしい症状は比較的軽く,
  反対にイライラや,あれこれ心配して歩き回ることが多くなります.

 仮面うつ病が起りやすい
  頭重,めまい,しびれ,肩こり,動悸,食欲低下,不眠など身体症状が中心で
  気分が落ち込むなど精神症状が覆い隠されてしまいます.

 仮性痴呆がみられます
  うつ病の症状で反応が鈍く,ぼんやりとした表情になるために,
  痴呆が始まったように見えることがあります.
  しかし,これは本当の痴呆ではなく,うつ病が回復すると良くなります.
  このため「仮性痴呆」と呼ばれます.


男性更年期うつ病
 女性だけでなく,男性にも更年期障害は訪れます.40歳頃を過ぎて,急に体力の衰えや,食欲の低下などが更年期に差し掛かったシグナルです.四十肩とはよく言いますが,肩こりや動悸などの身体症状だけでなく,精神面でも意欲低下や無気力感に襲われるといった症状がみられます.
 女性だけでなく,男性の場合も,40〜50代になると老化によって身体的機能やホルモン系機能の両面が衰えてきます.更年期には,体がストレスに敏感に反応しやすくなる一方,社会的には責任ある仕事や役職を任され,精神的なストレスに過敏になって,うつ病発症というケースもあるようです.

配偶者喪失症候群
 長年の伴侶をなくしたきっかけで,うつ病を発症してしまうケースは少なくありません.特に核家族化が進み,老夫婦暮らしと子供(孫)の家庭が別々である時,最愛の伴侶をなくすことで独り暮らしになってしまうこともあります.一番良いのは,独り暮らしでなくお子さんとの同居が,うつ病予防になるのですが,そうできない場合は,頻繁に連絡を取り合うなどすることが良いそうです.
 突然の喪失体験で,最初は悲観にくれる姿を目にするだけかもしれません.しかし,うつ症状が現れると,寂しさのあまり多弁になったり,涙もろくなったり,些細な不調を極端に気にしたりと,精神的に不安定になる事があります.また身体的にも,食欲低下や頭重,疲労困憊,便秘など,仮面うつ病のように身体症状のみが,先に見られる場合もあります.



老年期うつ
気づかれにくいお年寄りの心の病



身近なお年寄りに,こんな変化があったら読んでみてください.
元気がないし,やけに涙もろいし,食欲もない.そんなおじいちゃん・おばあちゃんは,もしかしたら「うつ」なのかもしれません.認知症とうつは違います.老年期のうつ病について症例をあげ,治療法,家族の対応などが解説されています.Q&Aも掲載.
第1章 お年寄りにも「うつ」はある
第2章 なぜうつ病になってしまうのか
第3章 お年寄りならではの治療法
第4章 高齢者自殺の現実
第5章 家族にできること,してはいけないこと
終章 うつの連鎖を防ごう




高齢者のうつ病



精神科の大家,大野先生の解説書です.
実際に身近な人がうつ病になった時,頼りになる本だと思います.うつ自体の基本的な知識とともに,介護予防事業の一環として重要度が増している,うつ病の予防や治療を支える地域でのポピュレーションアプローチ(病気の概念や予防の基本的考え方を人々に広く普及すること)の実践例も紹介されています.
第1章 気分障害
第2章 高齢者のうつ病の診断
第3章 高齢者のうつ病の治療
第4章 高齢者のうつと認知症・脳血管障害との鑑別
第5章 高齢者の認知行動療法
第6章 高齢者のうつと自殺対策
第6章付録 青森県三戸郡名川町の活動



高齢者うつ病診療のガイドライン



より専門的な高齢者うつ病のガイドラインです.
世界精神医学会の「老年精神医学・気分障害」部門が中心になって作成したガイドラインの日本語訳です.高齢者のうつ病に対象を絞って治療の指針が提示されています.
第1章 高齢者うつ病の特徴と症状
第2章 疾患の負担
第3章 高齢者のうつ病性障害の種類
第4章 高齢者のうつ病性障害の有病率
第5章 高齢者うつ病の原因
第6章 うつ病と併存障害
第7章 アセスメント
第8章 治療とマネジメント
第9章 経過と予後
第10章 予防
第11章 重要サマリー